石川県 輪島塗の稲忠さん に、次の作品も修復依頼をお願いしている。「霊獣丸紋蒔絵硯箱」の修復である。現在は、漆艶が失われ、欠き、打ち込み等が多数あるがこの硯箱に再び輝きが取り戻せるよう細心の注意を払い修復頂くこととなった。こちらもしばらく修復期間を要するが、また待つこともやはり楽しみである。
○現状
木胎に布着せ、漆塗り。上部に硯、下水板、水滴を嵌め、下部に引き出しを設けた硯箱。表面全体を黒漆塗りとする。鳳凰、龍、獅子、鯱などの霊獣を丸紋にし、研ぎだし蒔絵、平蒔絵で描く。内部は斑梨地、蓋裏に鶯と梅樹を描く。江戸時代後期の作品と思われる。
○寸法
幅18.0cm 奥行34.5cm 高さ12.5cm