東日本大震災で被災した蒔絵小箪笥が修復され当館に戻る。
小振りながらも質感の高い蒔絵箪笥は、当時の風格を取り戻し、蔵中で重厚な光りを放つ。
品名:家紋蒔絵小箪笥
寸法:幅 36cm 奥行 24cm 高さ 36cm
現状:東日本大震災被災にて欠け、及び経年劣化による漆艶鈍化。
概要:全体に黒漆塗りとし、蓋の四廻、引き出しの上縁を金縁とする。蓋並びに本体側面、引き出し前面に多数の家紋を蒔絵で表現している。描かれた家紋は、戦国から徳川時代の大名家 家紋が多く、東北の有力大名として各地の大名と親交が深かった伊達家の遺品らしい品である。
〜蒔絵家紋一覧 15種〜
加賀上田梅鉢
丸に三つ葵
離れ剣片喰
丸に桔梗
丸に鷹羽根
備前蝶
対鶴
丸に縦三つ引き
陰上がり藤
九翟
石川竜胆
丸に九枚笹
三つ巴
立ち梶の葉
五三の桐
〜修復について〜
破損状況:経年の日焼けにより全体の漆塗装膜表面の劣化が進み、艶が失われている。蓋の甲前面に座屈が一カ所ある。
修理方針:作品の古美術的な風格、美しさを残すべく、保存修理を行う。
修理方法:全体を注意深く洗浄し、前面の座屈は整形し、後に黒塗り漆を塗りこみ、傷を目立たせないように処理する。
金縁を復元する。古い部分と違和感の生じないように古色付けを行う。全体に黒漆を染み込ませて、塗装膜の強化をはかり、艶を適度に復元する。
修復業者様 石川県 輪島塗の稲忠